空に虹を描くまで


自分のロッカーに辿り着くと、持っていた教科書と上履きを入れた。

靴を取り出して履き替えると、陵の姿が見えた。


陵は傘かけのよこにもたれて、スマホをいじりながら立っていた。

「ごめん!お待たせ」
少し駆け足で近づいた。

わたしの言葉を聞くと、スマホから目を離しポケットにしまった。

「あ、もう用事終わったんだ?そんなに慌てなくてもよかったのに。全然待ってねえよ」

「え?そ、そう?」

慌ててきたように見えたんだ。

そう思うと少し恥ずかしくなって、乱れた前髪を整えた。

それでも、待たせていると思ったらやっぱり焦ってしまう。


「じ、じゃあ行きますか…」
ちらっと前髪の間から目を覗かせて言った。

「そうだな」
その言葉と同時にわたしたちは歩き出して、校舎を出た。