「俺の名前は…」

「陵、でしょ」 
名乗ろうとした彼の言葉をさえぎって答えた。

なんで知ってるんだ?とでも言うように一瞬驚いた表情を見せた。

「当たり」
だけどその後すぐにそう呟いて微笑んだ。


「ガラス工芸してる人って言ったら、すぐ答えてくれたよ。有名なんだね」

「そんなことないよ」
笑いながら否定した。

海くんと陵は特別仲いい感じには見えなかったし、クラスのほとんどが知ってる感じなんだろう。

「じゃあ、行こうか」

そう言われて、頷いた。
だけど、その後すぐに由美が教室にいることを思い出して引き留めた。

「あ、待って。ちょっと5組戻っていい?友達を待たせてて…」

「じゃあ、ロッカーのところで待ってるよ」

「ありがとう」

わたしは走って教室に向かった。