「知ってるの?いる?このクラスに」

「ああ、いるぜ」
そう言って海くんは教室の中を見渡した。

ガラス工芸といっただけでこんなに早く見つかるなんて。

外見を伝えるのに必死で忘れてた。

「けど、教室にはいねえみたいだな」

それはわかってた。
教室にいないことは。

だって考えている間ずっと2組にいないか探してたんだから。

「なあ、陵どこ行ったか知んね?」
大声でクラスのみんなに声をかけた。

そのせいで、わたしたちは一気に注目の的となった。

「ああ、あいつならホームルーム終わった後すぐ教室出てったよ」
一人の男の子が教えてくれた。


もしかしてすれ違いになったのかな?
それとも、まさかわたしと約束したこと忘れてる?

そんな変な不安が頭をよぎった。

「あ!噂をすれば」

そう叫んだ人の目線はわたしたちを通り越して、さらに後ろを見ているようだった。

ぱっと振り返ると、わたしが探していた人が真後ろに立っていた。