「えっとねー、背はこれくらいで…」
わたしは手をあげて説明した。

「髪は黒で、ちょっとクールな感じ。そういう人を探してるんだけど…わかる?」

「いや、全然わかんねー」

ま、そりゃそうでしょ。
今の説明だとわたしも分からない。

人にどんな人かを説明するのは難しい。
それもよく知らない人を。

これ以上何を説明すればいいのか分からず頭を抱えこんだ。

なにか外見の特徴を捉えていればよかったんだけど。

海くんも頭を悩ませ一緒に考えてくれた。

「こんなやつ?」
って何人か教えてくれたけど、全部はずれだった。

それからというもの、二人とも何も思い浮かばずシーンと黙りこくった。

「なんか他に無えの?そいつの特徴的なこと」

「うーん」

何かほかにまだ言ってないことあったかな?
記憶を探るようにして考えた。

「あ!ガラス工芸やっている人」
一番手掛かりになることを言い忘れているのに思い出し、付け足した。

「あ、なんだ陵のことか」
海くんがそう呟いた。