空に虹を描くまで



だから去年の体育祭の実行委員も決める時間がなく、誰が立候補するとかそんな時間は一切設けられなかった。


進路に関しては全く考えていなかったわけじゃなかった。

友達に誘われてオープンキャンパスに一緒に行ったりしたし、今まで先生との面談もあって何回か進路について話した。

もし、もう提出しないといけない立場だったら何かしらは書いていたと思う。


考える時間がほかのクラスより多少多かったとしても、最終的に限られた時間は一緒なのだから、たかが進路調査の紙一枚くらいって思うかもしれない。

それでも、わたしにはまだ考える時間があるとほっとした。
今回の進路調査で決定するわけじゃないけど。



「なんて書いたの?」

今日あったばかりの人にこんなこと聞くのも、と思ったけど思い切って聞いてみた。


「就職って書いたよ。第2希望も同じ」

「え!?就職?」
自分の耳に入ってきた言葉が信じられず、思わず声を張り上げて聞き返した。


「そ、そうだけど」

急に大声を出すから相手も驚いていた。