空に虹を描くまで



夏風がわたし達の横を通りすぎ、制服のスカートがふわりと揺れた。

その風と共にわたしのかばんからひらひらと小さな紙が舞い降りていった。


「あ」
それに気づき後ろを振り返った。

わたしがその紙が宙を舞ってどこにたどり着くか眺めていた。

「はい」
彼は風に乗る紙を追い、地面に落ちるとすかさず拾ってくれて渡してくれた。


「ありがとう」

受けたとった紙を今度はちゃんとファイルの中に挟んだ。

ノートにくっついていた紙が、かばんから取り出した拍子に一緒に出てしまったんだろう。


「それって進路調査の紙?」

「そう。今朝もらって」
そう言いながら再び歩き出した。

「俺のクラスは先週もらったよ。もう提出もしたし」

「え!?じゃあ、どうするか決めたの?」

「まあな」


今回ばかりは担任の先生に感謝した。

少しおっちょこちょいの先生でいつもほかのクラスより物事を進めるのが遅い。

多分、ギリギリになって思い出すんだろう。