空に虹を描くまで



「佳奈ー?」
由美が布をめくって様子を見にきた。

座り込んでいるわたしを見て少し驚いたように顔をのぞかせた。

「どうかしたの?」

由美は衣装は着ていたものの、もう、あの赤いコンタクトは外していた。

「なに?告白でもしたの?」

「え!?してないよ」

「じゃあされたの?」

「されてない、されてない」
首を横に振り否定した。

「まー、いいけど。感謝してよね。ほんとは禁止なんだから」
その由美の言葉に首を傾げる。

「だってネタバレじゃん。文化祭当日まで他クラスは出入り禁止なんだから」

「あ、そっか」
そういえば、作業前に言ってたな、と今更ながら思い出した。

「もう作業は終わるから、4時になったら自由解散だって」

「わかった」

ゆっくりと立ち上がり、布で覆われた暗い歪な空間を去った。