空に虹を描くまで



「キャハハハ。うるさいってばー」

わたしの後ろで騒ぐ声に、はっとする。

今更になってこの距離感に恥ずかしくなってきた。


「わ!」
後ろから声が聞こえたと思ったら、布越しに誰かに押され、そのまま陵のいる方へ倒れ込んでしまった。

「おい、押すなよなー」

そんな声と共に笑い声がまた後ろからまた聞こえる。

そんな楽しそうな状況とは裏腹に、わたしはまだこの状況を飲み込めずにいた。


しばらく経つと抱き締められている状態だと気付き、余計頭がクラクラした。

「ご、ごめんね」

ぱっと陵から逃げるように離れた。

これ以上は心臓が持ちそうにない。