空に虹を描くまで



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今日の授業は午後から全て文化祭の準備に充てられた。

なんて言ったって本番は明日なんだから。


クラスを黒い布で多い狭い教室を迷路みたく作っていった。


ートントン

「ん?」
肩を叩かれ振り返った。

「きゃー!!」

目の前に現れた人物に驚き、後ろにあった布を引っ張りながら倒れ込んでしまった。

「ちょ、佳奈、大丈夫?」
由美が心配そうに膝に手をつき声をかけてきた。

「び、びっくりした…」


そう。
由美はお化け役。

化粧でうまく顔に血を塗り、真っ赤なカラーコンタクトを入れている。

ボロボロの白衣を着て、ダンボールで作った包丁を握りしめていた。


びっくりするほど怖いが、もはや何か分からない。


「どう?上出来でしょ?」

由美は自慢げに見せびらかしてくる。

「すごいけど、とりあえずコンタクトは取って。怖い」

「でしょ!?」

由美は嬉しそうに奥へ引っ込んでいった。


クラスでコンタクトをつけている人を探していると思えば、こういうことだったのか。

今更、お化け役を探していたという事実に気づいた。