「あ、陵!」

教室の窓越しに陵を見つけ叫んだ。

びっくりしたようにこっちを見たが、すぐにわたしだと気付き駆け寄ってくれた。


「久しぶり」

そう言って微笑む陵に安心する。

「これ」

わたしはり陵に紙袋を差し出した。

「何?」
受け取りながらそう言い、中身を確認した。


「この前浴衣貸してくれたりしたでしょ?梓さんとおじさんとみんなで食べて」

お母さんに浴衣の写真を見せたら、すごく喜んでくれた。

お世話になったんだし、何かお礼しなきゃって話していて、デパートに買い物に行った時、美味しそうなお菓子を見つけたから買っておいたんだ。


「わざわざ悪いな」

「ううん。本当は直接渡したかったんだけど、多分文化祭まで行く時ないから…。落ち着いたらちゃんとお礼言いに行くよ」

「あぁ、部活の方は順調?」

「うん!いい感じ。今日もこれから練習なの」

「そっか」
優しく微笑みかけてくれる陵に胸が熱くなる。