「あ、うん…」
そっか。
陵とは逆方向だもんね。
陵の提案に、まだ一緒にいれるんだ、と心が躍った。
「で、部活に入ったって言ってたっけ?」
「あ、そうなの。軽音楽部でキーボード担当することになったの。まあ、文化祭までの期間限定だけど」
「へえ。文化祭で演奏するまでから期間限定ってこと?」
わたしは「そう」とコクリと頷いた。
「なんか喉乾いたから飲み物買ってくるよ」
陵はそう言いながら立ち上がり、数メートル先の自販機に飲み物を買いに行った。
一人になると、またさっきの映像が頭の中にリピートされる。
触られたところがやけに熱い。
まだ感触が残っているかのよう。
すごくガッチリした腕だったな。
服越しでもそれが伝わってきた。

