空に虹を描くまで



「陵!」

「よく会うな」

そう言って微笑む陵に自然と口角が上がる。

こうして夏休みに会うのは3回目だ。

一度は約束していたけど、初めと今回は違う。


高校入ってから地元の友達となかなか道端で会えないのに、陵とまたこうして会えるなんて。


嬉しくてニヤニヤが止まらない。

「さっき…」
小さく陵がつぶやき、そこで言葉が詰まった。

「ん?」

わたしが聞き返しても、なかなか言葉を発しない。

少し考えている様子になんだろう?と疑問を抱いたが、わたしは陵が再び口を開くのを待った。

ここで話題を変えても、話の続きが気になってしまう。

すると陵が口をゆっくりと開いた。

「いや、さっき一緒にいたやつって友達?」

「あー、祐介のこと?そう、友達。さっきまで家に行ってたの」

「へぇ」

そう言う陵はどこか暗い雰囲気に見えた。