空に虹を描くまで



「ほんとにごめんね。わざわざ来てもらって」

「いいよ、ついでだし」

そう言う祐介の顔を覗き込んだ。

「な、なんだよ」

「何買うつもりだったの?」

「えっと…アイスだよ!妹がここのアイスが食いたいって言ってたから」

「え〜ほんとに〜?」

思いついたかのように言う祐介に、どうしても疑ってしまう。

祐介は困ったように視線を逸らした。


「ふふっ。まあいいや。送ってくれてありがとう」

わたしが素直にお礼を言うと、もうついでだ、なんか言って否定することはなく優しく微笑んだ。


「じゃあまた次の練習で!」

そう言って祐介と別れ、改札に向かった。

よし。
今度はちゃんと定期がある。

そう確認し、改札を通ろうと体を横に向けた瞬間、上から声が聞こえた。

「佳奈子?」

「え?」

その低い声に顔を上げる。