空に虹を描くまで



「そう、誰にも見せる予定なかったし自分さえ読めればいいかなーって思って」

普通の横線のノートを楽譜代わりに使っていたし、まず誰も楽譜だとは思わないだろう。

音符もしっかり書かなかったから、ノートには点で埋め尽くされている状態。

左ページは楽譜代わりに使って、右ページは殴り書きで曲の雰囲気や思ったことを書いていた。

なんせ、ちゃんとした楽譜じゃないから、読み返すとどんなリズムか自分でもわからなくなってしまう。

それを防ぐっていう意味でも右ページには自由に思ったことや、ピアノの先生に注意されたことなんかを書き記していた。


「…って中身見たの!?」

”楽譜だったんだ”という言葉を思い出し、まさかと思い聞いた。

「ごめん、つい」
笑いを堪えているかのようにして言った。

「ぜ、全部見た?」