「祐介の両親って何してる人?社長とかなの?」
「ん?あーまぁそうだな一応」
「へーすごいね!じゃあ仕事は継いだりするの?」
「いや、それはまだ分かんねーな。多分やらないけど」
「え、どうして?」
「まー他にやりたいことがあって」
そう言うと祐介は少し照れ臭そうに笑った。
「親父がさー、なんてーか、あんまり一般家庭の親っぽくなくて、学歴なんて気にすんなってずっと言われて育ってきてんだよね」
ははっと冗談交じりの口調で祐介は言ったが、その言葉にわたしは思わず目を見開いた。
わたしのお父さんとは正反対だ。
「夢に向かって進む過程で付いてくるのが学歴であって、高学歴を目指すイコール夢が叶う、じゃないって。もうずーっと言われてきてんの。まあ口癖みたいなもん。そんなんだから、多分会社立ち上げてってやってるんだろうな」
相変わらず冗談っぽく祐介は話した。
だけど、お父さんの話をしているときの祐介はどこか誇らしげで、お父さんを尊敬しているんだな、って心から思った。

