空に虹を描くまで



「任せて!とは言えないけど、できる限りやってみるよ」

またこんな約束して、後悔するかもしれない。


でも絶対この挑戦は無駄じゃない。

そう思えるようになってきた。


「駅まで送るよ」

祐介はわたし達を駅まで送ってくれた。

駅に着き、定期を出そうとかばんに手を伸ばした。


「ん?あれ?」

いつも入れているところに定期がなく、かばんの中をかき回しながら探した。

ポケットも見てみるけど、やっぱり入っていない。

「どうかした?」

わたしの様子に由美が聞いてきた。

「定期がなくて…あ!」

「な、なに?」

思い出した。
ポケットの中に定期を入れていたけど、座った時に邪魔になったからピアノの上に置いてきてしまったんだ。


「ごめん、祐介。わたし定期ピアノの上に忘れちゃった」

「げ。まじ?」

海くんが横からつぶやいた。

「二人は先帰ってて」

そう言い残し、祐介と一緒に再び家に戻った。