空に虹を描くまで



わたしもできる限り、意見を言ってみた。

もちろん、ずっとバンドとして演奏してきたみんなには劣るけど、いろいろアイデアを考えるのがとても楽しい。

そして意見がまとまって、一つの曲になっていく過程がとても面白かった。

アイデアを言って、賛成してくれないこともあるけど、それで終わりじゃない。

そこからまたアイデアが広がっていく。


一人で曲を作るのと、また違った楽しさがあった。


「あ、そろそろ時間だね。次のバンドきちゃうよ」

由美のその言葉で楽器を片付けだした。

「じゃあ次の練習までに曲覚えるの宿題な」

「おー」

みんなわたしの弾いた曲をスマホに録音し、いつでも聞ける状態にした。


「よいしょ」
由美がケースに入れたベースを持ち上げた。

海くんはギター。
祐介はスティックの入った黒いケースを持っている。

「わたしって次の練習で何か持ってくるものある?」