空に虹を描くまで



「拾ってくれたノート、どこで見つけたの?」

「あぁ…」

思い出そうとしてくれたのか、少し間があった。

「図書室…だったかな」
小さい声で少し考えたように言った。

「そうなんだ」

覚えていないのかな?

そのことも気になったけど、反応を見てその話題は避けた。

「わたしのこと知らないでしょ?わざわざ探してくれたの?」

「いや、俺は知ってたよ」

「え!?そうなの?」

思ってもみない返答に驚いた。


「去年、体育祭の実行委員だっただろ?俺も1年のときそうだったから」

「あー、なるほど」


そう、去年は体育祭の実行委員だった。

実行委員になるつもりはなかったんだけど、その時期わたしは体育委員で、有無を言わさず強制的に実行委員にさせられた。

大変だった思い出があるから、”今年はなるまい”と決めて今は図書委員をしている。

部活動に所属している人は基本的に委員会はやらなくていい、という決まりがある。

本人がやりたいのなら別だけど。

そういう理由があって、毎回何かしらの委員会には入っている。