「まあね」なんて言いながら微笑み返した。
「えっとー、電車通学?」
わたしは会話が途切れないようにそのまま続けた。
「そうだよ」
「ほんと?わたしもなの。よかったら、駅まで一緒に行かない?」
わたしが呼び止めた場所でずっと立ち話をしていた。
ずっとといってもほんの数分だけど。
通行人の邪魔にもなるし、同じ方向に行くならここで分かれると逆に不自然だ。
そう思って思い切って誘った。
「そうだな」
その人のその言葉と同時にわたし達は歩き出した。
いつもと同じ帰り道のはずなのに、肌に感じる風がいつもよりもゆっくりと吹いているように感じた。

