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『下校の時間になりました』
静かな図書室に先生の声が響き渡った。
時計を見ると、ピッタリと6時を指していた。
勉強するのが特別好きというわけでもないが、図書室に通い始めてから集中力が途切れることが少なくなってきた。
今までだと、自分から時計を見て「まだこれしかすすんでないのか」と気を落としていたけど、今じゃ時間の経つ速さにびっくりする。
開いていた教科書とノートを閉じ、トンッと机の上で揃えた。
由美もそろそろ部活が終わる頃だ。
時間もいいころだし、待ってて一緒に帰ろうかな。
由美がいいタイミングで来てくれることを願って、ロッカーに向かった。
グラウンドからは、足音やかけ声が聞こえる。
校舎のどこからか聞こえるグラスバンド部の楽器の音が、気持ちいいくらいに頭の中に響き渡った。

