「わたしは全然平気!むしろ、元気をもらえるって感じ」
「え?」
「あ、いや、とにかく、わたしは大丈夫だから」
陵は「よかった」と笑顔で呟いた。
次の日もバイトがあるけど10時からだし、学校に行く時間を考えたらだいぶゆっくりできる。
「そういえば、俺たち連絡先交換してなかったよな?」
「あ、そうだね」
かばんからスマホを取り出し連絡先を交換しあった。
陵の連絡先が入ったってだけですごく嬉しい。
たかが連絡先で、こんなに喜べるなんて。
「じゃあ、その日バイトが終わったら連絡して。迎えに行くから」
「え、いいよ!もう道も覚えたし」
「来てもらうんだし、それくらいはいいだろ」
「よくない、よくない!」
そう話をしている間に気がつけば駅についていた。
「とにかく連絡しろよ。じゃあ、俺寄るところがあるから」
そう言うと、改札には入らず通り過ぎて行ってしまった。
有無を言わせない感じに少し笑けてきた。
陵がいなくなった後でも、夏休みに会えたことにまだ胸の高まりが収まらない。
向こうも偶然学校に来たって言っていたし、本当にラッキーだ。
どうしても頬が緩んでしまう。
神様からのプレゼントなのかも知れない。
同じ1日とは思えないくらい、とても幸せな気持ちだった。