「えっと、元気?」
「なんだよ、それ」
わたしのくだらない質問に陵は笑いながら続けた。
「元気だよ。佳奈子は部活?」
「いや、直接部活に所属しているわけじゃないんだけど、友達の練習にちょっと付き合ってて」
「へー、じゃあ夏休みもよく来てるんだ?」
「ううん、今日で2回目」
「え?じゃあほんとにすっげー偶然だな」
陵がそう言うと、わたし達は駅に向かってゆっくりと進み出した。
公園の木が風で揺れる音が聞こえる。
静かな通学路を、わたし達は肩を並べて歩いた。
「陵は夏休み何してるの?ガラス工芸?」
「まー、ほとんどそうだな。2人とも佳奈子に会いたがってるよ」
「え?ほんとに?」
夏休みも遊びにきてね、とは言われていたけどなかなか勇気がなく行けず仕舞いだった。
だって、まだ出会って日が浅いし、用事がないのに行くのは勇気がいる。
「明後日だったら俺もいるし、午後だったら2人ともいるから暇だったら来る?」
「行く!行きたい!明後日でしょ?」
用事がなかったか頭の中の記憶を探った。
「3時までバイトがあるの。行くのはそれからになっちゃうけどいい?」
「いいよ。佳奈子が大変じゃなければ」