「あ、そうなの?なんかごめんね、余計に気を使わせちゃったみたいで」
「いや違うの!慌てて出てきちゃったから、わたしとしたことが忘れちゃって…」
そう言ってごまかした。
わたしの嘘に気づきませんように、と祈りながら恐る恐るみんなを見た。
「まー、別に焦ってるわけじゃないしな」
海くんがフォローしてくれた。
よかった。
信じきっている様子に、ひとまず胸を撫で下ろした。
「そうだな。とりあえず、それ聞く?」
祐介の視線の先にはぐしゃぐしゃになった楽譜があった。
「いや、待って。これはもうわたしでも読めないし、また曲作り進めて持ってくるから、これは見ないで」
とっさに後ろに隠し、みんなの視線から外した。
「読めないってどんなだよ」
呆れたように海くんが呟いた。
「いいじゃん。全く別の曲になるっていうのをわかってて聞くから、ちょっとだけ聞かせて」
由美にお願いをされ後ろに隠し持っていた楽譜を前に出した。

