空に虹を描くまで



自分で納得のいかない曲を渡して、由美達が気に入られるわけがない。

それでも、今日渡すと約束をしてたから仕方なく持ってきたけど。

それに、このまま考えてもこれ以上何も浮かばない。

だったら何かアドバイスをもらった方が一歩先に進めるんじゃないか。


そう思って来たけど、やっぱり渡していいものか、今になってまた悩み始めた。

かれこれ10分以上部室の前をウロウロしている。

周りから見れば変質者だろうけど、今のわたしにはそんなこと考えている余裕もない。


ここで考えていても時間が過ぎるだけでどうしようもない。


そう覚悟をすると、楽譜をにぎりしめて部室へと入った。


「佳奈!」

わたしが部室に入ると、一斉に視線が集まるのを感じた。


「や、やっほー」
嬉しそうな由美に対してなんとか笑顔を作り答えた。

少しずつみんなに近づくと、海くんの目線がわたしの手元に移ったのが分かった。