お父さんとこの話題は避けれるならば、ずっと避けていたい。
勉強の話よりも苦手だ。
それくらいピアノに関しては本当にいろいろあった。
それに、この言い方。
そんな無駄なこと、いつになったらやめるんだ?
そういう風に聞こえる。
けれどそれには屈しずわたしも反論し返した。
「お父さんだって釣り、今でもよくやってるじゃん」
「佳奈子のピアノとは関係ないだろ」
他人事のように呟くお父さんに少しムカついた。
「わたしも続けるから」
「おいおい、それとこれとは話が別だろ?」
「一緒だよ。ねえ?」
わたしはお母さんに同意を求めた。
基本的にお母さんはわたしの味方についてくれることが多い。
多分お父さんが厳しいからだと思う。
それでも、ピアノをずっと習わせてくれているお父さんに少しは感謝もしているけど。
けどやっぱりムカつく時もある。
お父さんには今でも許せない恨みが一つある。
普段は心の奥底にしまっているけど、ピアノのことでお父さんと話すと、そのことが脳裏に浮かんで嫌な気持ちになる。

