「もー黙って!今はご飯に集中!」
わけのわからないことを言ってなんとか怒りを抑えようとした。
お父さんはいつも何かと勉強の話をしてくる。
小学生の頃はテストの点数が悪くて怒られる、なんてことよくあった。
それが嫌で少しずつ勉強する習慣を身につけていった。
そのお陰で市内で有名な進学校に入学することができた。
いい友達にも巡り会え、今は楽しく学校生活を送れているからその件に関しては不満はない。
だけど、こうして何かと勉強に結びつけてくるのはいい加減うんざりだ。
行って欲しい大学があったとしても、それを何回も聞かされるのはしんどい。
お母さんが言うには、本当はお父さんが行きたかった大学みたいだけど、いろいろあって行けなかったみたい。
何があったのかは知らないけど。
『行く大学によって、将来就職する時に選択の幅が広がる』
ずーっとお父さんに言われ続けてきた。
それは一理あると思う。
だけどお父さんに大学を決められるなんて面白くない。
自分の将来くらい自分で決められる。
そうは思っていても、実際のところ特に行きたい大学がないのが現状だけど。
「佳奈子、ピアノはいつまで続けるんだ?」
お父さんにそう言われギクッと肩が上がる。

