「んー、まあまあじゃない?」
勉強なんてやってないし。
そう言いたいけれど、そんなこと言ったらお父さんの怒りを買うだけだ。
「何だそれは」
お父さんは呆れたようにそう言うとコップに入ったお茶を一気に飲んだ。
「勉強してたんだろ?」
「…別に」
不機嫌に答えた。
これじゃただの八つ当たりだ。
そう分かっていても、笑顔で「曲作り」なんて答えられない。
特にお父さんの前では。
「じゃあ何してたの?」
お母さんが料理を持って席に着いた。
「いろいろ」
「何よ、いろいろって」
「ひみつー。じゃ、いただきます」
話を遮りわたしはご飯を食べ始めた。
気分を切り替えないとやっていけない。
「ちゃんと受験勉強もしっかりしろよ」
そう思った矢先、お父さんがまた空気の読めないことを言ってくる。
「それなりにしてるよ」
「ふーん、どうだか」
疑うようにわたしの目を見てきた。
「なに?やってるって!」
「信じられんな」
お父さんは半分冗談で言ったけど、今のわたしには冗談も通じない。
その一言でまたイラっとした。

