「へー、いいじゃん」

わたしはペラペラとかに楽譜をめくった。

ギターやベースをやった事ないから、もちろん読む事はできないけど。

「で、見て欲しい練習ってこの曲のこと?」

そう言いながら海くんに楽譜を返した。

「いや...」
そこまで言って言葉を詰まらせた。

「なに?確かにこの曲のことは知ってるけど、口ぐさめる程度だよ」

「違うの。頼みたいのはこの曲じゃなくて」
由美が口を挟んんで否定した。

再び由美は重い口を開いた。

「実は今オリジナル曲をやってるんだけど…」

「え?オリジナル?すごーい!」

「いや、すごくねーの。全然」

祐介はドラム越しにわたしを見て、呆れたように手を振りながら否定した。

「ど、どういうこと?」


この雰囲気。

なんとなく予想がついた。

みんながわたしに何を求めているのか。

だけど、自分からは口に出さずみんなの回答を待つことにした。