活気のない門を抜け校舎に入っていった。


部屋に近づくと、ドラムの音が聞こえ、バスドラムの音は胸の奥に深く響きわたった。

きっと聞こえていないだろうなと思いながら、コンコンと軽く二回ノックをした。

予想通り、中からは何の反応もない。

だけどそんな事はお構いなしに扉を無造作に開けた。

「やっほー、久しぶり」

「佳奈ー!」

椅子に座ってチューニングをしていた由美は立ち上がりわたしの元に来た。
由美と海くんの他にドラムの祐介がいる。

このバンドメンバーとは本当に仲がいい。

多分気があうんだろう。

由美がメンバーじゃなければ、知り合ってなかったんだと思うと、由美には感謝しきれない。


「わざわざ夏休みにありがとね!」

「いいよ。今何の曲やってるの?」

わたしがそう言うと海くんが楽譜を持って来てくれた。

「あ、この歌知ってる!映画の主題歌になった曲でしょ?」

「そうそう。テーマが70年代の曲で、ビートルズにしようかって話も出たんだけど、全員賛同でこの曲になったって訳」