「バイトが夕方からあるから、それまでになるけど」
『十分!ありがとう。じゃあ、えっと...明日よろしくね』
慌てたようにそのまま電話が切れた。
なんだったんだろう…?
いつもの由美の調子とちがう。
明日の部活に何かあるんだろうか?
部活に来てと頼むだけなのに、わざわざ電話っていうのもおかしい。
頼まれたことは何度かあったけど、電話なんて初めてだ。
ーー久々に着慣れた制服を来て学校に向かった。
朝もゆっくり出たせいか、いつもよりも電車に乗っている人が少なく席が所々空いていた。
いつもこんな感じだったらいいのに。
口を尖らせながら、空いている一番端の席に座った。
通学路もいつもなら、同じ制服を来ている人で溢れかえっているのに、眼の前を歩いている人やわたしを通り過ぎて歩く人は、みんな私服だ。
こんな静かな通学路を歩くのは久しぶり。
部活をしてないわたしにとっては、休みの日に学校に行くことなんてほとんどない。
いつもなら校門の前に先生が立って挨拶をしてくれているけど、今日は誰もいない。
当たり前だけど。