それから間もなくして夏休みに入り、わたしはほぼ毎日バイト三昧の生活を送っていた。
もちろん友達に誘われたら遊びには行っていたけど。
だけど夏休みの多くの時間を、バイトと受験勉強に費やした。
まだ高校2年生だけど、受験にスイッチを入れている人はたくさんいる。
わたしはまだ本調子じゃないけど。
そんな感じである程度充実した夏休みを過ごしていた時、突然携帯が鳴った。
「もしもし」
携帯には”由美”と表示されていた。
『あ、佳奈?由美だけど、今平気?』
「うん、どうしたの?」
『ちょっとお願いがあって…』
「え、なに?改まって」
珍しい口調で身構えた。
由美とはあんまり電話をしないから、いつもと慣れない声でそう聞こえるだけかもしれないけど。
『明日部活あるんだけど…練習きてくれない?』
「なんだー、そんなこと?もちろん、いいよ」
なにを言われるのかと思って身構えたが、由美の返答を聞いて気が抜けた。