帰りの時間も惜しむ間もなく、あっという間に家に着いた。


「じゃあ、また明日学校でね」

陵にそう伝えた。

クラスも違うし、廊下ですれ違えば会えるけど、そうでなければきっと会う確率の方が低いだろう。

わざわざ、陵のいるクラスに行かない限り。


「ああ」

だけど、わたしの返事に陵は優しく笑って答えた。

同じ学校で、同じ学年なのに、クラスが離れていて会える確証がないだけで少し寂しい。


「すれ違ったら声かけてね」

冗談交じりに陵に言った。

「…わかった。その代わり、佳奈子も俺に声かけろよ」

少し照れながらも真剣に返事をしてくれた。

その陵の優しさにまた心が締め付けられる。


「うん!」

笑ってそう伝えると車を降りた。

車の窓から梓さんが手を振ってくれて、わたしも思いっきり振り返した。


ゆっくりと長くて先の見えない道を走り出した。


満天の星空が見守る中、陵の乗る車は止まることなく進んでいった。