下に着くと、一台の車が待っていた。

「じゃあ、俺は用事があるからここで失礼するよ」

「ありがとうございました」

おじさんに深く頭を下げた。


少し悲しい。

この前は、完成したグラスを取りに来るという約束をしていたけど、今回は違う。

わたしがガラス工房に訪れたら話は別だろうけど、用事がないからやっぱり行きづらい。

おじさんや梓さんはいつでも来てねと言ってくれたけど。


わたしの表情を読み取ってかおじさんが声をかけてくれた。

「夏休み、絶対に一度は顔見せに来るんだぞ。長居しなくてもいいから」

「ぜ、絶対?」

「絶対」

「ふふっ、はい。絶対行きます」

おじさんに”絶対行く”と伝えて車に乗り込んだ。


ゆっくりと何倍も時間をかけて歩いて来た道が一瞬にして通り過ぎていった。