モグラ女の恋


給料日前に棚卸し。



今日は断る理由が沢山あって良かった。



……とホッと胸を撫で下ろす私。



下がった眼鏡を人差し指で持ち上げながら頼まれたレジ打ちを的確にこなす。



なんでも人より早く、多く。



それが私の唯一の取り得。



努力から生まれることしかない私の取り得だけど、それが仕事の遣り甲斐だったりしている。



「穴井さん、今日暇だから先にお昼にいってきて」



「わかりました」



店長に支持されたとおりに鞄を持ち休憩室へと向かう。



私の働いているドラッグストアは地下街にある。



沢山のテナントが入っている中の一つのお店。



そして、そこで働く人たちが休憩できるようにと、地下二階に作られた休憩室。



そこには様々な店舗の従業員たちが出入りしていた。



休憩室に近づくにつれて私の胸は高鳴っていく。



今日はいるだろうか?



ドキドキドキドキ



早くなる鼓動を感じながら休憩室のドアを開く。