「俺、穴井さんのことほっとけない」



「…………」



今、自分の身に何が起こっているのか把握できない私。



「穴井さん。俺のこと嫌い?」



体を離した彼は私の顔を覗き込んでくる。



「……いえっ」



「そっか。良かった」



私には眩しすぎる彼の笑顔が私の視界いっぱいに広がっている。



「そろそろ。職場に戻ろうか?」



「はい」



彼の顔を見つめていた私は我に返り、咄嗟に彼から視線を逸らす。



「終わったら一緒に帰ろう」



そういい残し去っていった彼の後姿を呆然と見つめていた。