モグラ女の恋

「あーごめんごめん。そんなに真面目に答えなくても。穴井さんは見た目の通り真面目なんだね」



ズキっ



真面目……



真面目だけが取り柄の女……



そう言われた過去と彼の言葉がダブってしまう。



「穴井さん?」



「あっ、ごめんなさい。飲み物でも入れますね」



私は鞄を床に置き慌ててキッチンへと入った。



棚からコーヒーメーカーを取りだし


「珈琲でいいですか?」


と声をかけたけど、返事はない。



私はリビングを覗いてみた。



すると、クロを抱きしめたまま目を閉じている彼。



寝ちゃったの?



私はゆっくりと彼に近づき声をかける。



「あの~寝てますか?」



近づくとスースーと寝息が聞こえてくる。