モグラ女の恋

「なんだ~じゃあ話し掛ければ良かった。穴井さんを見かける度にクロのこと聞きたかったけど、いつも一人でお弁当食べてたから、声かけにくくて」



地下鉄を降りると再び繋がれる手。



さっきより緊張しないのはなんでだろう?



彼の明るい雰囲気のせいなのか。



「ごめんなさい」



「えっ?穴井さんが謝ることじゃないよ。でも、今日会えて良かったぁ~」



そんなことを言われても私はなんて言葉を返せばいいのかわからない。



「そうだ!!クロ見に行ってもいい?」



「えっ?」



「ダメだよね。夜遅いし……」



ガクンと肩を落とす彼。



「大丈夫です」



「本当?」



私の言葉に飛び上がる彼は単純な人なのかな?