モグラ女の恋


夜の街中はキラキラと光っている。



お店も人もすべてが眩しい。



もう、やめよう。



こんな場所で、あんな合コンなんて……



私には合わないってわかっていたのに、参加した自分が悪い。



私は私に合っている場所で生きる。



それが一番いいんだ。



眩しすぎる街並がなるべく視界に入らないように、首を折り曲げ、足元を見つめながら駅までの道を急いだ。



「待って。穴井さんだった?」



突然、私の腕を掴んだ男。



突然、私の視界に入ってきた男。



深く下げていた頭をゆっくりと上げると、そこにいた男は彼だった。



「穴井さん?」



「あっ……はい」



「体調大丈夫?送ってくよ」



彼はニコッっと私に笑いかけてくれる。



これは夢なんじゃないだろうか?



こんなに素敵な人が私に笑いかけるだなんて……



「いいえ。大丈夫ですので」



私はまだ夢の世界にいたかったけれど、掴まれている腕が気になって顔が急に熱くなりだした。



気持ち悪いなんて思われる前にこの場から立ち去りたい。



「頼むよ。送らせて。俺に帰る口実を作ってくれたお礼に」



「えっ?」



彼は掴んだ手を離してくれない。