モグラ女の恋

でも、今日は大丈夫ではなかったみたいで席についても何度も何度もさっきの会話を思い出してしまう。



「穴井さん?顔色悪いけど、大丈夫?」



西城さんに優しい言葉をかけられたって、素直に受け取れない自分がいる。



私は思い切り立ち上がり、頭を下げた。



「すみません。具合が悪いのでお先に失礼します」



「えっ、穴井さん?ちょっと……」



背中では西城さんの声が聞こえていたけど、私はその声を無視してお店から出た。



いい人だなんて思っていた自分が情けない。



私に優しくしてくれる人なんているはずないのに。



悔しさが涙となって流れてくる。