「穴井さーん。今日は給料日後だし、断る理由はないわよね」
ニッコリ微笑む西城さんの顔が鬼の面をかぶっているようにうつる。
「え……もしかして……」
「今日の夜、合コンなの。嬉しいでしょ?一緒に行きましょう」
「えっ、……あっ」
「じゃあ、帰りに」
断れなかった。
理由を考えているうちに西城さんはいなくなってしまったし、朝から憂鬱。
家ではクロが待っているのに。
そうだ。
犬を飼ったからって言えばよかったんだ。
私しか面倒を見る人がいないから、今日は行けないって……
よしっ!!
そう言って断ろう。
……って意気込んでは見たものの、私は結局合コンに参加している。
私と西城さんと見知らぬ女の子が横一列に並び、男の子達を待っている。
「遅れてごめん」と小走りで私たちのテーブルに来た男の子はどこかで見たことがある。
「私たちも今来たところなので」って可愛らしく返事を返す西城さん。
ハァ~
これから地獄の時間が始まるんだ。
私はテーブルを見つめたまま、なるべく顔を上げないように早く時間が過ぎろと祈るばかり。
そんな私は無視されたまま、テーブルは盛り上がっていた。
と思ったけど、私のように会話に入っていない男が一人。
えっ?
えっ?
えーー?!?!?!


