「飼ってくれるの?」
子犬と同じような目をしながら私の顔を覗き込む男。
「はい。よければ私が……」
「良かった。クロ良かったな」
男は乱暴に子犬の頭を撫でる。
「あの……クロって?」
「あーコイツ黒いから。クロ。」
ありきたりな名前を付けられた子犬はそれでも嬉しそうに私の腕の中で尻尾を振っている。
「俺、犬好きなんだよね。だから、飼えないってわかってても放っておけなくて。ホラっ」
そう言って取り出したのは携帯に付けられているストラップ。
10匹くらいの犬がゴチャゴチャと付けられていた。
「じゃあ頼んだよ」
「はい」
男は手を振りながら雨の中に消えていった。


