急いで弁当を食べれば、余裕で時間には間に合った。


落ち着いてベンチに凭れた。



「松井さん、本題なんだけど。」


「何です?」



高城さんを見上げた。



「彼氏はいるのは知ってる。副社長だって事も。」


「えっ?」


「それを承知で頼みがある。」



高城さんをじっと見つめる。



「飲み会に参加して欲しい。」


「へっ?」



真面目な雰囲気で何を言われるかと思いきや………飲み会?



「飲み会?」


「同期がどうしても秘書課と飲みたいらしくて。」



奥に座る同期を見れば、両手を合わせて私に頭を下げている。



「松井さんを誘えって煩くて。」


「他の秘書の方は?」


「勿論、松井さんが大丈夫なら皆に声を掛けるから。先ずは松井さんに参加して欲しいから。」



高城さんが頭を下げている。そこまでお願いしなくても飲み会ぐらいなら参加するのに。



「別にいいよ。そこまでお願いしなくても参加するよ?」


「本当?」


「もっと誘ってくれてもいいから。」



普通に高城さんに答えた。笑みを見せる高城さんに私も笑みを見せた。