「真央達は本当に仲良しだね。喧嘩とかしないでしょ?」


「まあ、喧嘩はね?ほら、賢人に丸め込まれるって感じ。」


「反論すればいいのに。」


「………できないよ。」



真央の沈んだ声にチラリと見た。手を止めた真央を覗き込む。



「真央?」


「あっ、ううん。ほら、賢人の方が強い感じでしょ?」


「まあ。」


「だから丸め込まれちゃうんだよね。」


「ふ~ん、そっか。」


「それより急がないと。時間が。」



真央の言葉に時計を見れば、副社長を呼びに行く時間が迫っている。


慌ててコーヒーカップをトレーに乗せた。



「朱里、副社長を。」


「うん、すぐに戻る。」



急いで副社長室へ早足で向かう。


ノックをすれば、副社長室の扉が開き、副社長が廊下に出てきた。



「松井、遅い。」


「すみません。」



歩き出した副社長の後ろをついていく。会議室には役員が集まりつつあった。