楽しかった夏季休暇も終わってしまった。


悠木さんが運転する車で尚輝はずっと手を繋いでいた。



「朱里は?」


「俺のマンション。」


「朱里さん、兄貴の部屋に泊まり?」



悠木さんの問い掛けに尚輝が答えれば、直ぐに陽輝が反応する。


振り返る陽輝は嬉しそうだが―――。



「俺が送っていくだけだ。」



さらっと尚輝が嘘をついている。陽輝と目が合う。



「朱里さん?」


「みたい。尚輝に任せるよ。」



僅かに繋いだ手に力が籠められる。



「ふ~ん。じゃあ、また月曜の朝にね。」


「うん。」

「チッ………。」



陽輝は納得したのかしてないのか………前を向いた。


私も尚輝と二人でもう少し過ごしたいと思っていた。



「またな、尚輝、朱里も。」



皆に手を振り見送っていれば、尚輝に引っ張られてマンションに入っていった。


一週間振りに現実の世界に戻った気がした。


遊んで過ごした日々が懐かしく思えた。