「んん―――。」



エアコンで快適な温度の室内。私を包み込む温もりに擦り寄る。


ここ一週間で慣れてしまった温もりに、再び眠りに落ちようとしていた。


コンコン。


コンコン。



微かだが窓を叩かれる音がする。これもこの一週間で慣れてきた。


相手は勿論――――。



「聡…………。」



耳元で囁かれる掠れた色っぽい声。これもこの一週間で慣れてきた。


温もりが離れ、尚輝がベッドから立ち上がり、窓に近付いていく。


「聡、何だよ。」


「朝だぞ。」


「まだ早い。朱里も寝てるし、静かにしろよ。」


「一服付き合え。」



どうやら、一人で寂しい悠木さんが尚輝を煙草に誘っている。


窓の閉まる音に二人がベランダに出ていったのを感じた。


これもこの一週間の日常の光景となった。


そして一人でベッドを抜け出し、部屋を出ていくのも日常の光景となっていた。