「兄貴、部屋は朱里さんと同じなんだし、怒るなよ。」


「えっ?私は真央とじゃないの?」


「俺とだ。嫌なのか?」


「嫌って言うかね?ほらね?」


「何が『ほらね?』だよ。」



抱き寄せる尚輝がクスクスと笑っている。私は身を乗り出して真央に話し掛ける。



「真央も私とが良くない?女同士で。」



振り返ろうとする真央を強引に抱き寄せる賢人が真央の代わりに振り返った。



「朱里は尚輝と。嫌なら陽輝か聡と。」


「………賢人さん、会社とは雰囲気が違いすぎじゃない?」


「それが?普通は違うでしょ。尚輝も聡も陽輝も違うし。」



賢人がニヤリとする顔に眉間の皺を寄せた。


真央を賢人さんから引き剥がして、耳元で小声で囁く。



「真央、大丈夫なの?賢人さん、相当、腹黒そうだよ?」


「朱里、聞こえてる。」


「だって………初めて会社で逢った時と違いすぎる。」


「何?朱里は紳士っぽいのが好み?」