「尚輝、助手席。」


「………何でだ。」


「散々、俺を苛めといて?拒否権はない。」



渋々、尚輝が助手席に座る。私の隣には陽輝が座った。



「地雷だから。」


「ん?」



耳元で陽輝が小声で話し出す。



「聡さんの話。地雷だから。」


「………そうなんだ。」



陽輝が私から体を起こして離れていく。視線を感じれば、案の定、尚輝が私を睨んでいる。



「尚輝、何?」


「陽輝と近い。」


「………。」


「陽輝も近付き過ぎだ。」


「朱里さんは友達だし。別に構わないだろ。」



陽輝が何事もないように尚輝に反論している。尚輝の機嫌は下降気味だ。



「兄貴、同じ部屋にしてやっただろ。」


「………当たり前だ。」


「何なら、朱里さんと真央さんにする?」


「「駄目だ。」」



尚輝と賢人がハモった。



「なら、車でぐらいは朱里さんの隣でもいいだろ。」


「……チッ………。」



尚輝が折れた。悠木さんが愉しそうに尚輝の隣で笑っている。