「お互いに想って別れて、また想いが実るって事も滅多にない話だよ?」


「そうだな。俺と真央は離れる理由がなかっただけだ。尚輝達とは違う。」



陽輝の言葉に続けたのは賢人の冷静な言葉だった。



「尚輝の一途さは高校時代から見てきた。別れて、また想いが繋がったのはお互いに一途に思ってた証拠じゃないのか?」


「俺も同じ意見。高校時代の二人とは別人のような二人に安堵した。お互いに言い合うようになってたからな。」


「そうだな。遠慮しなくなったのは進歩だな。」



賢人と悠木さんの言葉が見つめ合う私達の雰囲気を甘くしていく。


尚輝の瞳が嬉しそうに私を見つめているのが伝わってくる。


きっと私も同じように尚輝を見つめているのだろう。



「賢人さん達とは別。兄貴達は兄貴達の一途さがあるんじゃない?」



陽輝の言葉は本当に魔法だ。


一途って言葉に囚われすぎていたようだ。



「ごめん、尚輝。」


「いや、俺も過去は聞かない。」



陽輝は言葉を上手く伝えてくれる。兄貴想い、その上、私達を心配してくれている。



「陽輝、また見直した。」



嬉しそうに微笑む陽輝に私も微笑み返した。