週末を尚輝と過ごし、翌日からは大阪出張へと同行する。


週末、尚輝のマンションの部屋に行って驚いた。


リビングには、私達の思い出の高校の制服、高校時代の二人の写真が飾られていたからだ。



「尚輝、恥ずかしくない?高校の写真なんて。」


「別に。大切な写真だ。」



尚輝の愛が込められている。凄く実感した週末を過ごした。


なのに――――



『ついでに婚約?』



この前から頭を過る負の言葉が離れない。



「朱里?」


「ん?」


「ほら、資料を頼む。」


「あっ、ごめん。」



大阪へ到着し、会議までの時間をカフェで過ごしていた。


どうやら違う世界に飛んでいたみたいだ。



「朱里さん、悩み事?」


「ううん、大丈夫。」



陽輝に笑みを見せれば、眉間に皺を寄せられた。疑いの眼差しだ。



「相談に乗るから。」


「………。」



陽輝が会議の資料へと視線を落とした。