「朱里、愛してる。高校の頃から忘れられない女だった。」


「尚輝。」


「俺も初めての同棲は不安だ。朱里と不安なのは同じだ。」



囁く尚輝の声に耳を傾ける。あまりに優しい声に涙が浮かんできそうになる。



「朱里、俺を愛してくれてるか?」



小さな声で囁かれる声に頷く。尚輝が嬉しそうに微笑む顔を見つめる。



「俺も。俺と朱里の気持ちは同じだ。大丈夫、親にも俺から説明するし上手くいく。」



「うん。」



尚輝の手が頬から離れていくのを寂しく思った。思わず、尚輝の手を掴んだ。



「朱里?」


「ごめん、もう少し触れていてくれる?」


「ははっ、ああ。」



温もりが頬へと戻る。不安を打ち消してくれる温もりに擦り寄る。



「尚輝、ありがとう。」


「ああ。週末の予定だけ聞いてくれ。」


「うん。」


「俺に任せておけ。」


「うん。」



今度こそ、私の頬から手が離れていった。見つめ合う目に笑みを浮かべた。